官能小説の秘密その3:

「やあ、みんな、今日も元気に屈伏してるかな?」
「ちょっとちょっと、みんなが屈伏してどうするのよ?屈伏させるんじゃないの?」
「おおっ、そうじゃった。わしもモウロクしたものかいのー」
「最初からしてるじゃない」

官能小説の秘密その3 媚薬の秘密


「で、今日の題材には、良い子のみんなも大好きな禁断のアイテム、媚薬について取り上げようと思うのじゃ」
「塗られたら痒くなったり、異様に物欲しくなったりするやつね」
「やはり縄と並んで卑劣なアイテムの双璧をなす存在だからな。ただでさえ非力な女性を縄で縛り上げ、完全にその自由を奪ってからネコが鼠をいたぶるような要領でネチネチ責めあげていく(by団鬼六)。うひー、やっぱり縄は基本じゃぁぁ! それにお薬はというと、嫌いな男を頑なに拒む美女に塗りたくって無理矢理性感を高めまくり、最後はよがり泣きながらも屈伏させる最暗黒なアイテムじゃな。」
「いやあねぇ。私も博士に使われたら泣く泣く感じちゃうわけ?いくら嫌いでも?
「いや、別にテキストの色を変えてまで熱く語る必要は無いと思うが...わしならそんなもん使うまでもなく、このテポドン3号で...」
「きゃっ! そんなもんしまっちゃいなさいよ、もう。何を出してるのよ...」
「話とイチモツを元に戻そう。シュタっとな。でも小説に出てくる媚薬とはまやかしに過ぎない。現実に存在しない、非常にご都合主義的なアイテムというわけじゃ。」
「それって快楽持論にもあったわよね?」
「そうじゃな。それに現実世界で販売されている媚薬って効用みても本当に効くのかどうかわからんものが多いのだ。以前に購入した「THE 媚薬」という本によれば、そのかなりの部分が気のせい、いわゆる「偽薬」としての作用がほとんどなようじゃよ。高い金を払って購入した薬って、飲めば一応効きそうな気がするじゃない。その後行為をしちゃうと「なんだかいつもと違った」と感じるわけ。」
「なるほど、それであの時も...」
「一体いつの話をしておるのじゃ?」
「以前、旦那にされたんだよねー。フランス直輸入の媚薬だとかなんとかを...」
「くぴー!カヲリ君の、そのただでさえ大人の色香をプンプン漂わせる肉体を好き放題できるとは....う、うらやましすぎるぞ。どうじゃ、カヲリ君。今からでもわしと結婚していたという風に設定を変更せんか?」
「なにを言ってるのよ。全く。そんなことはどうでもいいから、話、話!」
「うーむ、惜しいのぉ、こんなにも熟れているのに...ま、つまりじゃな、飲んだり塗ったりするだけでヤリたくて我慢できなくなるような薬なんぞ、本当はこの世には存在しないということなんだ。あくまでも妄想世界の産物。もし仮にあったとしたら、覚せい剤などのドラッグがそれに最も近い存在になるかもしれんが、ちと手を出すのにはやばいからのぉ。綺羅光も初期の作品では、怪しげな媚薬を多用していたもんだが、近頃ではそれに変わるものとして麻薬だとか幻覚剤が登場しているのは、よりリアルに世界を作ろうとする意図からかもしれんな。」
「でも、どうせ妄想の世界なんだから、得体の知れない催淫剤ってほうが燃えるのよねー。妙にリアルだと興冷めしちゃうかも」
「そこらへんは個人個人の好みでもあるから、結論付けるのは難しいけどね。十人十色、それがこの世界の面白いところでもあるのだ。ただリアルでないエロ、それがマンサクの提唱するエロ=ファンタジー理論。うぉぉぉ、エロはファンタジー!」
「あんたバカァ?」

「さて、小説で出てくる媚薬の形状なんじゃが...」
「多いのが飲み薬と塗り薬タイプね。それ以外には注射や座薬なんてのもあるみたい。そーしてアニメなんかが大好きなお友達にとって忘れられないのが淫獣!!」
「ネトネトヌトヌトしているやつらじゃな。こいつら、触手+強力な催淫効果を持つ体液がお約束だからのぉ。広義の媚薬と考えてもよかろう。まあ一般の官能小説には出てこないけど、ナポレオン文庫や漫画なんかにはよく見かけるな。」
「『人妻VS淫獣』なんかがあっても、いいかもしれないのに...結城彩雨とか書いてくれないかしら?」
「うーむ、ゴリラ獣姦や、堕胎した子供で作った張り型なんかも出てきてやりたい放題なんだから、もう少し踏みこめば可能かもしれないぞ。人妻の名前はもちろん『水島まゆみ』。責められて『ひいーッ』とか『た、たまんない』とか言ってもらわないと...」
「あはは、いつものパターンね。でも媚薬の効用って、性感を高めるタイプと痒くなってたまんなくなるタイプにわけられるわね。塗り薬の場合」
「そうじゃな。痒くなってたまらんところを焦らしに焦らしまくり、屈辱の台詞を吐かせた後で、張り型でコリコリほぐしていくというパターンがあるな。性感が高まっているわけでは決してないんだが、とにかく太い物で掻き回してもらわないと我慢できない窮地に獲物を追い込むのが目的なのじゃ。哀願させて突っ込んでしまえば、後はどうとでも料理できるという...じゅるじゅる」
「痒みが癒されていくうちに張り型の刺激で次第に感じてきてしまうわけね。由紀かほるなんかでも、山芋を直接突っ込んでいる話が何本かあったけど、あれは痒そうだったわねぇ 」
「団鬼六も、山芋、唐辛子、ずいき...と如何にも痒そうなものが目白押し...」
「それに比べると性感を高めるタイプは、ストレートね!」
「マンサクも好きで多用しているからのぉ。飲み薬でメロメロにしておいて更に塗り薬を使うというかさにかかった責め。俗にいう鬼に金棒攻撃じゃな。」
「やはり空想の産物っていうか、そういうもののほうが、あたしは、そそられるものがあるのよねえ。これが浪漫なのかしら?」
「確かに性感が高まるという要素だけではなく、そこにプラスアルファの味付けがあるとよりおいしいな。それが架空の産物でも。例えば女豹で使っていた『自白しない限りイケない』とか『いけばいくほど感じやすい身体に変えられてしまう薬』とか...こういうのは官能世界の一種の宣言文だからな。設定を語るだけでも読者の想像を書きたてることができるのじゃ。気丈なヒロインが、そんなとんでもない薬を使われたら一体どうなるのだろうって考えただけでも興奮するではないか!」
「博士、涎、涎。悶絶しないようにね」
「おお、わしが悶絶しても読者はちっとも喜ばんな。官能小説のヒロインに悶え苦しんでもらわないと。ということで、せっかくそんなアイテムを使ったんだから、小説の中での描写もしっかりやってほしいのじゃ。感じてしまっている様とか身体が淫らに火照ってくる様をねっとりと執拗に書き込んでもらいたいのだ」
「あああ、私、どうなってしまうの...みたいな?」
「そう、ただ塗ってみましたっていうのではなく、きちんとヒロインの心理描写まで入れてはじめて媚薬を使いきった事になると思うのじゃ。できれば、『こんな卑劣な薬には絶対屈しない!』っていう悲壮な決意も織り交ぜてもらうと、より興奮できるんじゃけどな」
「やはり使った後のアフターケアも大切ってわけね」
「間違った使用例としては、媚薬を使われた瞬間に『は、早くつっこんでー!!』とわめき散らすヒロインがおるが、こんなマゾ相手にしても全然楽しくないぞ。これじゃあ、いくらそれまで気の強い女であると説明していても台無しだ。媚薬を使うというのは手段のひとつ。それ自体が目的では決してない。あくまでも『気の強い女を屈伏させる』ってのが我らが目指すところだからな。それが表現できてないようだと、どうも...」
「エロゲーなんかやってて不満なのがここらへんなのよね。媚薬もわりと出てくるんだけど使いこなせていないのよ。使用しても全然その描写がなかったり、屈伏を楽しむ暇もなく腰を振出したり...」
「まあ、エロゲーのプレイヤーが全員屈伏を嗜好しているわけではないからのぉ。ちっこい女の子が好きな人も多いし...でも屈伏は興奮に至るための最強のトリガーであることには違いない。使いかたさえ誤らなければ、充分心強い味方になってくれると思うぞ!」
「そうね。そんな話しをしていたら、なんだか...あたしもまた使ってみようかしら...」
「わしと?」
「絶対嫌!!!」
「ふふふ、こういう頑なに拒む美女を無理矢理!! ここに取り出したるは、旧日本軍が作った最強の媚薬、これを一口飲むだけでもう、うひひ...」
「そんなに好きならあんたが飲みなさいよ!」
「うぐっ!や、やめたまえカヲリ君!むぐー!!んぐんぐ」
「どう?味はするの?」
「おえー、ま、まずい!!でも....なんだか身体が火照ってきたぞ! おおっ? 見よ!テポドン3号が農民5号にパワーアップしている!」
「どっちにしても10センチ以下ね」
「.....」
「というわけで、良い子のみんな、また次回まで楽しみにしていてね!」
「.....でも、硬いもん...グス」


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