目録へ  


  ミズ・アメリカーナ:首輪                                          いぬかみ訳

ミズ・アメリカーナ:首輪
(原題:MS Americana:The Collar by Dark One)

第二章 首輪の装着

 やがて、群衆が別れ、丁度奥の方まで見通せる様に成った時、このクラブの悪名高き女主人、邪悪なワンダの姿が眼に入った。
邪悪なワンダは、身長が180cm程で、肩幅の広いがっしりした体形で、人を魅惑する様な濃い緑色の眼をしていた。ワンダも、巻き毛ではあったが、ブレンダ同様輝く様な長い黒髪を束ね、“女王様スタイル”の衣装を纏っていた。黒革のバスティエと、身体にピッタリした革のパンツを着け、その上から、前で編上げる形の腿まである革のブーツを履いていた。

『ジミー・チョー・ブーツだわ』
ブレンダは思った。
『家にある私のと同じみたい』
 それは、白人奴隷売買で、千五百ドルもするブーツを買える程の金を稼いでいる事を意味していた。

 更に、ワンダはスパイクの付いた犬首輪を着け、スパイクの付いた腕輪を両手に嵌めていた。そしてさり気無く革の乗馬鞭を持っていた。
 邪悪なワンダは何かの冗談に笑っていた。その表情は美しく、同時に邪悪さも含んでいた。
もしこの魔女の恐ろしい手綱を止めなければ、毎晩美しい若い女性が消息を絶つ事に成る、とブレンダは知っていた。恐らく、リディアの最も親しい友達でありシーシーの愛称で呼ばれるキャンディ・キャストンもこの運命を免れないであろう。

「私、何でもするつもりよ」
 ブレンダは振り返り、ランスに向かって顎を上げた。ブレンダは、規則の首輪が首に巻かれ、留め金が掛けられた時怒りを覚えた。ランスは、挑戦的な眼で見詰めながら首輪をきつく締め過ぎたのだ。
ブレンダは、暖かい波が急速に全身に広がって行くのを感じた。

ブレンダは、ランスと眼を合わせながら淫らな笑みを浮かべた。
「ハンサムな兄さん、私、この場所に相応しい女より、もっと凄いわよ」
ブレンダは、絹の様な黒髪を肩の後ろに戻し、高いヒールを中心にして向きを変えると、青い眼を光らせながら“聖域”の内部に入って行った。
群衆は彼女に道を譲ったが、殆どの眼がこの新入りに注がれた。幾つかの眼は他に向かい、決して少なくない眼が彼女に見惚れている状況に、ブレンダは、満足げな笑みを浮かべた。
勿論、見惚れていたのは44DDsサイズの巨乳を持った彫像の様な彼女の肉体だった。

さり気無くスーパーヒロインの役割に転じたブレンダは、素早くその場を離れ、踊り子達の中に紛れ込んだ。10秒後にはブレンダはキャンディと巡り合った。19歳に成る嗣女は、好色億万長者として有名な、ジェフリー・アバーナシー卿の股間に、形の良いお尻を擦り付けていた。この75歳の英国メディアの有力者の肩書きは購入したものだが、簡単に騙されるアメリカの若い女性には何の問題もなかった。ジェフリー卿の老人斑のある手がキャンディの左胸に乗せられていた。キャンディの上半身は、勿論裸だった。

「今晩は、シーシー」
ブレンダが、片方の眉を尊大げに上げて言った。
「あっ!ウェイドさん」
キャンディは、真っ赤になって大声を上げ、剥きだしに成っている乳房から老人の手を払い除けた。
「気が付きませんで・・・つまり・・・私、部屋へ行かなければ成りませんので・・・失礼します」
 そう言ってキャンディは群衆の中に消えた。ブレンダはジェフリー卿に、満足げにニッコリと笑って見せた。ジェフリー卿はブレンダを睨み付けた。
「こんな所で、超堅物のフェミニストさんにお目にかかれるとは思っても見ませんでしたよ」
ジェフリー卿が言った。彼の黒い眼が、汗で濡れている胸の谷間に注がれると、ジェフリー卿の顔面が紅潮した。首輪を引っ張りながら唇を舐め、喉をすっきりさせた。
「私・・・アー・・・今晩、君はとても素敵だよ、ブレンダ」
「有難う、ジェフ」
ブレンダは言った。ブレンダは、彼の怒りが鎮まるのを待つ為に一つ大きく息をした。何時もと同様、彼はブレンダの操り人形だった。ブレンダは、身体を擦り付ける様にしてジェフリー卿の周りで踊り始めた。ブレンダは、ジェフリー卿が彼女を強く望んでいる事を知っていたが、それは本当に苦痛だった。ジェフリー卿の肉棒が岩の様に硬くなり、高価な絹のズボンにテントを張っていた。ブレンダは手を伸ばし彼の肉棒を掴んだ。その長さと太さには驚くべきものが有った。
「これは私の為?それとも居なくなったキャンディの為?」
「君の為だよ、ブレンダ、何時でもさ」
ジェフリー卿は、しゃがれた声で言った。
「時間と場所を指定してくれれば、何時でもそこに行くよ」

 ブレンダは、望んでいた通り、邪悪のワンダが見ている事に気付いていた。それで、ブレンダはジェフリー卿の胸に彼女の44DDsを押付けていたのだ。高いヒールのおかげで、ブレンダはジェフリー卿の眼を正面から見る事が出来た。ブレンダは、手をジェフリーの肩に乗せ、彼の両手が自分の細いウェストに当てられたのを感じた。ブレンダが頭を少し右側へ傾け、艶かしく赤い唇を舐めると、ジェフリーは震える手でブレンダのウェストを擦り始めた。ジェフリーは眼を見開き手を下げ彼女の背中に滑らせた。
ブレンダは、官能的に唇を開くと、ジェフリーは二つの手に余る程の豊満な尻を掴んで引き寄せ、肉棒を彼女の股間に押付けた。ブレンダは唇を差し出した。それに向かってジェフリーも、唇を突き出した。
唇が触れ合う寸前、ブレンダはジェフリーの唇をかすめて頭を振った。クスクス笑いながら、ブレンダはジェフリーを押し遣り、身体を捻る様にして抱擁する彼の手から逃れた。
 魅惑的な嗣女は、欲求不満に成った老英国億万長者の周りで一踊りした後、踊りながら群衆の中に入って行った。彼の欲求不満の唸り声が彼女の耳には心地よく響いた。

やがて、邪悪なワンダが群衆を見て頷く光景が、ブレンダの視界の端に入った。魔女が見ていた方向に眼をやると、キャンディが何者かに続いて横のドアの中に入って行くのが見えた。
ブレンダは眉をひそめた。それは、若く美しい娘が安全から程遠い所にいると思えたからだた。
『キャンディとは、両親を交えてじっくり話し合わねばならないだろう。』
 そう考えると、リディアが友達と一緒にクラブに出かけた時、どんな馬鹿げた機会を作るだろうかと心配に成った。男女とも若者は不躾で自分自身の安全には無頓着だ。彼らは、自分は不死身で、誰の犠牲者にも成らない美しい金持ちだと思っているのだ。

 邪悪なワンダの方に眼を戻すと、そこに魔女はいなかった。
ブレンダがワンダを探し始めると、希に見る美女が眼に止まった。赤毛の美女だった。見た事もない様な最高の赤毛の美女が、邪悪のワンダがいた処の横にあるテーブルの上で、両手両脚をホッグ・タイに縛り上げられていた。眼を魔女の方にばかり向けていたので、その赤毛に気付かなかったのだ。
他にも二十人の美しい若い女性が、部屋中いたる所で悩ましい姿態で縛られていた。ある者はボンデージ・ディスプレイとして天井から吊り下げられていた。

『嗚呼、自由の女神よ!ここは、BDSM セックス・クラブじゃない』
ブレンダは衝撃を受けた。

 辺りを見回したブレンダは、キャンディが首輪を着け、曳き綱に引かれてドアから出てくる光景に眼を留めた。
その美しい嗣女は、赤革の衣装を剥ぎ取られ、両手を手錠で拘束されていた。今、身に着けているのは赤い靴だけだった。
そこに群衆の中から邪悪なワンダが現れ、曳き綱を手に取った。
『これはまずいわ』
 邪悪なワンダは、キャンディをテーブルの一つに連れて行き、拘束と猿轡を取ってその上へ乗せた。
キャンディはテーブルに上がる様に命令されると、何の躊躇いも無くそのに上がった。彼女は何の不快感も抱いていない様に見えた。
『これがキャンディが興味を持っている事なの?』 
ブレンダには、進んでボンデージ奴隷に成るキャンディなど想像もつかなかった。キャンディは聡明な野心家で、快活な娘だった。キャンディ・キャストンは、どんな男あるいは女の靴拭きなどではなかった。
しかしそこには、邪悪なワンダの命令に躊躇いも無く熱心に従うキャンディがいた。
 ブレンダは、他の人々と同じ様に “女王様”に向かってゆっくりと移動し、全神経を集中して見守った。
邪悪なワンダが、キャンディの剥き出しの尻を乗馬鞭で叩いた時ブレンダは飛び上がった。完璧とも言える丸い白い尻に、赤いミミズ腫れが浮き上がる光景に、ブレンダは青い眼を剥いた。
「お前は誰だい?」
邪悪なワンダがキャンディに尋ねた。
「貴方の甘い尻キャンディです、女御主人ワンダ様」
「何が欲しいんだい、キャンディ?」
「一日中舐められ続ける事です、女御主人様」 
キャンディは甘い声で無邪気に言った。
「実はもっと欲しいものがあります、女御主人様。一日中、大きくてジューシーな肉棒を舐める事です」
「本当かい?」
邪悪なワンダは口を歪ませ嘲笑する様に言った。魔女は、考え事をする様に動きを止め、周囲で眺めている群集を、強い眼光を放つ緑色の眼で見渡した。そして、眼をジェフリー卿の所で止めると赤い唇を歪め邪悪な笑みを浮かべた。
「そこの高貴な方、どう、この可愛らしいキャンディの、甘い夢を叶えてあげ様って親切心は無いかい?」
「こ、光栄です、女御主人様」
ジェフリーは乾いた唇を舐めながらテーブルに飛び乗った。
「皆の者、私がキャンディに命じた服従を、目撃するよう命令します」
邪悪なワンダが奇妙な強い声で言った。それを聞いたブレンダの体と心を、再度熱い波が駆け巡った。
 ブレンダはその場に凍りつき、シワの寄った好色老人がズボンを下ろすと、老人の肉棒を口で受けようとテーブルの上に跪くキャンディを見詰めた。更にブレンダは、老人の巨大な肉棒が、キャンディのりんごの様な赤い唇に出入りする様子を見つめていた。
その間邪悪なワンダは美しい嗣女の背後に移動し、一本の太い指をキャンディのしっとりと濡れた秘所の奥深くへ突き入れた。

 喉が締め付けられ、両腿の間に駆け巡りそして膨らんで行く様な熱を感じながら、ブレンダの青い瞳はキャンディの唇とお尻の間を往復した。ブレンダは、キャンディの愛くるしい乳房が欲情し、柔らかいピンクの乳首が勃起し固く成ったのに気付いた。キャンディは完全に欲情し充分に楽しんでいた。
 ブレンダは、何も出来ず、只見つめていた。そして、ジェフリー卿が徐々にキャンディの口を犯す速度を増して行き、放出の為に狂った様に成った時には、ブレンダも激しく欲情していた。
その時、ジェフリー卿がキャンディの口中へ放ち、キャンディの顔に幾つかの飛沫がかかった。
邪悪なワンダはキャンディの陰核を見て、その最も敏感な場所を刺激する心を吹き飛ばす様な自慰行為が、彼女の性的欲望を荒廃させつつある事を既に見抜いていた。
数秒後、ジェフリー卿は終え、肉棒をキャンディの顔中に擦り付けた。その時には、心を麻痺させた絶頂と嬌声によってキャンディの可愛い顔は失われていた。

 ブレンダは、更に一時間ほどの間、邪悪なワンダがランダムに選んだ男や女が、代わる代わるキャンディの奉仕を受けるのを見続けた。未だ十台の嗣女はガタガタ震える、性に狂った機械の様だった。
ブレンダは息も出来なかった。全身が激しく震え、陥った一種のトランス状態から抜け出せなかった。ブレンダは、他の人と同じ様に、喉の渇きと秘所の疼きを感じながら大きく眼を開けて見ていた。

「お前!」
邪悪なワンダは乗馬鞭でブレンダの胸に触わった。ブレンダの眼は、直ぐに邪悪なワンダの眼に釘付けに成った。両者の間に火花が散った。ワンダの声には数千ワットのパワーが有る様に感じられた。
「お前の番だ。あの娘のマンコを食べるんだ」
ブレンダは、服従したいという思いを抱いた。喉が渇き、強くキャンディを食べてみたいと感じた。しかし、それはしてはならない事だ。キャンディの両親とはとても親しい間柄でキャンディは家族同然の友人だった。
ブレンダはキャンディが子供の頃を思い出し、花の様な美しい女性に成長する過程を回想した。
しかもキャンディはリディアの友達でもある。
「で、出来ません」
ブレンダは、そう言って邪悪なワンダに衝撃を与えた。
「何だって?」
邪悪なワンダは不思議そうに首を振った。
「お前、私に逆らうのかい?どうしてそんな事が出来るんだい?凍りつけ!」 
動けなくなったブレンダに衝撃が走った。
『何をしたのか?』
直ぐに思い当たった・・・
『魔法だ!首輪に魔法が掛けられていたに違いない!』
邪悪なワンダはブレンダの首輪に手を伸ばし、首輪の下に指を一本差し入れ注意深く観察した。
「私の物に間違いないわ。従順と服従の魔法は未だ効果を発揮する筈・・・」 
魔女はブレンダの前に進み出た。ワンダの顔が直ぐ眼の前に来た。
「お前、凄く強い意志を持ている様だね、可愛い子ちゃん。気に入ったわ。元気の良い女は、とても大きな満足感を味わえるからね、打ち負かした時に・・・」
 ブレンダが自分の意志で出来るのは手を握り締める事だけだった。身体の他の部分はブレンダの意志に全く反応しなかった。
こんな事は有り得ない事だが、魔女は魔法の力でブレンダを捕らえたのだ。
首輪が魔力を持つ事や、自分の意志の力が、自分に投げ掛けられた危険を払い除け様ともしない事など、かつて起こった事がなかった。
ともあれ、ブレンダは動く事が出来なかった!


   戻る   進進むむ   戻