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 第9章 ともみ3

1.

「どうです?あなたの身体を寸評された感想は?」
「・・・・・」
ともみは真っ赤になって無言である。

「さて、のどが渇いていませんか?」
「はい」
正直、ともみはのどが渇いていた。
昨日拉致されてから1滴の水も飲んでいないからだ。
「それじゃぁまずは水を飲ませてあげましょう」
年上の男はそういうと、ともみはある部屋に入れた。
部屋は特に変わったものはなく、1台の機械を除いてはがらんとしていた。
男たちは裸のともみを後ろ手に縛り上げた。
両足も足をそろえた状態で足首を縄で縛り、足の親指同士も縛った。
「さて、こちらへ・・・」
そういわれても、足が縛られているので、ピョンピョンと飛んで移動せざるを得なかった。
床に半径70cm位の丸が書いてある。
男たちはともみをそこへ誘導した。
そして、丸の真中にあるフックと、親指同士を縛っている紐を結びつけた。
ともみはそこに立った。
すると、目の前に紐が1本下りてきた。
何だろうと思うまもなく、男たちはともみの顔を固定すると、両方の鼻の穴に金具を差し込んだ。
「・・・な・・・なに?」
紐が引かれ、ともみは鼻フックで吊り上げられた。
といっても、両足を背伸びしてどうにか地面と接点がある状態で、とてもそれ以上伸びて金具を外すことは出来ない。
また、床のフックと結び付けられているので飛び跳ねて外すことも出来ない。
ともみは、鼻の穴を広げられた無様な姿で耐えている。
すると、天井からガラスの管が下りてきた。
半径は70cmぐらい。ちょうど床の円と同じ大きさだ。
動けないともみを囲うように、ガラスの管が地面と接した。


2.

上から水が注がれ始めた。
数箇所から分かれて注がれているので、あっという間に首のあたりまで水がたまった。
(おぼれさせる気かしら?)
ともみはちょっと恐怖した。
水位はなおも上がり、あごのちょっと下まで来たとき、不意に水が止まった。
「さて、思う存分、水を飲んでくださいね」
男たちはそういって部屋を出て行った。
確かにともみの身体が浸っているとはいえ、水は水である。
のどの渇いたともみは水を飲もうとした。
が、飲むことが出来ない。
あと数センチ、水位が高ければ飲むことが出来る。
しかし、その数センチが微妙な遠さである。
鼻をつられているので、顔を戻そうとしたり、しゃがもうとすると鼻フックが邪魔をする。
無理にすると鼻の皮膚が切れそうに痛い。
身体をゆすって波を立てても、拘束されているので思うように波が立たず、水面が軽くゆれる程度である。
水は飲みたい。
水は目の前にたくさんある。
しかし届かない。
ともみは「あと数センチ」の距離にある「水」を飲もうと努力しつづけた。

To be continued


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